世間には、「大きな借金がある。自己破産しかない」と考えている方が少なくありません。いまのAさんのケースは、そうした方にぜひ考えていただきたい話として紹介しました。

もうおわかりのように、債務整理を考えたら、最初に次のことを頭に置いてください。

借金には、「本当に返さなければならない借金」と「返さなくてもいい借金」がある

本当に返さなければならない借金は、先に出た「利息制限法で引き直した借金」です。

借金の利息については、利息制限法と出資法があります。出資法のほうが利率が高く、これまで業者は出資法に基づく高い利息を請求してきました。しかし、平成18年1月の最高裁判所の判決で、出資法に基づく高い利息を取ることはできなくなりました。

そこで、高利の利息を支払ってきた人に、どんなことが考えられるでしょうか。

返さなくてもよい借金を業者に返していた! 返しすぎたった!

 

ここで、自己破産せずによかったケースを紹介しましょう。その方を仮にAさん(64歳)としますが、相談にみえたときは樵悴しきっていました。

「サラ金6社に借金があって、もう生活が成り立ちません。返せるような借金でなくなっで、私は自己破産しかないと思っているんですが……」

こう言うAさんの借金総額は、約347万円でした。契約書などの資料は少なかったのですが、記憶が比較的正確で、ご自分でつくられたメモが役に立ちました。

「引き直し計算をすると、お金が返ってくる可能性が大きいですね。自己破産ではなく、任意整理のほうがいいと思います」

私たちの意見に、Aさんも同意されました。その結果、6社中4社は任意整理で和解が成立、残る2社は訴訟になりました。しかし、提訴後に和解の申し出が入り、無事に和解が成立しました。

 

いまお話しした自己破産は、債務整理の最後の最後の手段です。

「自己破産したいのですが……」

こう切り出した相談者のなかでも、詳しい事情をうかがうと、自己破産せずにすむケースが多くあります。それによって、メリットが得られるケースも少なくありません。

「あなたの場介、自己破産しなくても債務整理はできますよ」

こう申し上げると一瞬、驚いたような顔をされますが、次には安心した表情が浮かびます。

「自己破産したい……」と言っても、内心は自己破産したくない方が多いのです。

「えっ、自己破産せずに借金が整理できるんですか?・ よろしくお願いします」

 

いま挙げた三つの債務整理のうち、自己破産がよく知られています。

「私には多重債務があります。もう自己破産しがないでしょうか?」

「借金が払えなくなって、自己破産を考えています。どうすれば自己破産できますか?」

相談にこられる方々のなかにも、最初から「自己破産」を頭に置いている方がかなりおられます。大きな借金を背負った人の相談を受ける専門家にも、自己破産を勧める人が少なくありません。その人たちの頭のなかには、「免責」という二字があります。

よく、「裁利所に免責が認められると、借金はチャラになる。返さなくていいようになる」とし言います。正確に言うと、免責とは「債権者が借金の支払いを求めることができなくなる法的な効果」です。免責が認められると借金を支払わなくてすむというのは、あくまでその結果なのです。

 

司法書士には、多くの方が借金の相談にこられます。

メールでも、実に多くの方が相談をされてきます。ほとんどの場合、多重債務を抱えながら返済をつづけ、これ以上の返済をつづけることがむずかしくなったケースです。

「借金がふくらんで、どうにも生活していけません。何か方法はないでしょうか?」

いまは債務整理という解決の道を知っている方も増えましたが、まだその方法による問題解決を知らない方もいます。債務整理という解決策を知らなければ、いつまでも業者の厳しい収立てにさらされつづけ、生活が脅かされたままです。

借金を合法的に整理する方法はある―。まず、このことを知ってください。債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。ただし、これらはただ借金を減らすためだけの手段ではありません。現在の借金に返済のメドをつけたりカタをつけたりし、人生の新しいスタートを切るための手段です。そのことは忘れないでいただきたいと思います。